毎日新聞 11月13日<Work the Earth>に取り上げられました。
粘り気のあるクリーミーな新食感がくせになる--。埼玉県狭山市内で販売されている「さといもコロッケ」が地元で好評を博している。仕掛けたのは、若手の里芋農家たちだ。【山寺香】
埼玉県は里芋の産出額で全国1位を誇る。中でも狭山市の里芋は高品質で、高級品として料亭などで使われるほど。一方で地元のスーパーに並ぶ機会は少なく、地域の特産品と知る人は多くなかったという。
「地元の人に愛される特産品にしたい」と、市内の若手里芋農家7人が2010年、「さやま里芋増産倶楽部」(現代表は白倉崇弘さん)を設立。コロッケのレシピを食品加工会社と共同開発し、食品工場で加工して市内の精肉店などに卸すことで、地域の人に食べてもらえるようにした。
子芋や孫芋に比べて硬く、「えぐみ」があると思われていたことから人気がなかった親芋をコロッケの原料にしたのが特徴。高品質の狭山の親芋は実はえぐみがなく、硬さがコロッケにはちょうどいい。里芋の収穫量の4分の1以上を占めながら出荷されていなかった親芋を有効利用し、コロッケの価格を低価格に抑えることにも成功。今では地域の新たなB級グルメとして定着した。同倶楽部の初代代表、奥富康雄さん(43)は「地域で喜ばれることで、生産者も誇りを持つようになった」と語る。
同倶楽部は12年から、約40年前まで地元で盛んに栽培されながら、今ではほとんど作られていない「入間ごぼう」の復活を目指す取り組みも始めた。里芋と同じ畑で交互に生産し、7~10月の早い時期に収穫する。現在JAいるま野サラダごぼう部会の農家4軒が生産し、あくが少なく軟らかい特徴を生かして「ごぼうのピクルス」も商品化した。部会長でもある奥富さんは「里芋と並ぶブランドに育てたい」と意気込む。
狭山はお茶だけじゃないです。