2013年4月アーカイブ

イラストレーター藤田新策

  image.jpgimage2.jpg小野不由美の5巻組「屍鬼」を読んでいて、、毎回表紙装画を見ていて、不安な不吉な感じを持っていて、小説にぴったりのイラストだなと思っていました。そういえば宮部みゆきの「模倣犯」も長編でしたが、毎日見ていた表紙画にも同じ印象を持ったことを思い出し、誰が描いているのだろうと調べ寺たら、藤田新策というイラストレーターでした。装画,挿絵の世界では超メジャーで、スティーブン・キングダニエル・キースの表紙を飾っていて、描いた絵は1000冊を超えているというから驚きです。本屋でミステリーの本を探していると、なんとなく怖いもの見たさの不安感を持って、背表紙のディティールなど見てしまうことは、いままで何度もあったはず。

 1956年静岡県生まれ、武蔵美出身、1989年スティーブン・キング「ペットセメタリー」(映画にもなりました)から装画活動が始まりとのことです。
 絵はたいてい物語の一場面を描いているのだが、何層にも絵具を重ね、遠くまで見渡せるのに、その現場で起きていることはわざと見せない、日が暮れるのか、朝になるのか判らない薄暮に、音の聞こえない寂寥感が滲みます。ドラマ「ツインピークス」「Xファイル」をはじめて見たときのテーマ曲が耳を離れないアレです。

小野不由美 「屍鬼」

名称未設定-1.jpg 新潮文庫より文庫本長編5冊セット。オリジナルハードカバーは上下刊です。小野不由美というペンネームからして不吉なです。先週読んだ、誉田哲也の「妖の華」というデビュ-作っぽい小説が、吸血鬼物だったので、偶然にも続けて伝奇小説を読むことになりました。
 屍鬼と人間の登場人物は150人にものぼり、夫々の生い立ち、性格、家族、屍鬼になるまでの過程など人物描写が細かく、一流作家らしく物語の進行にもそつがありません。
 舞台は三方を深い樅の森林で囲まれた人口1300人の外場村(卒塔婆村)、墓地は土葬、祭は虫送りと呼ばれ、真夜中松明を持った鬼の面をかぶったユゲ衆と呼ばれる女人禁制の若衆が卒塔婆を背負って練り歩く。という横溝正史小説のようなおどろおどろしい設定です。
 現代なのだが、住人はほとんど村内で生活が完結していて、新居に越してきた住人は昼間外出することなく、出歩くとしても、夜のみといのが只者でない予感がします。
 映画トワイライトもそうだが、吸血鬼はやはり美男美女が定番なのだが、屍鬼では本家屍鬼以外はほとんど一般人でカリスマ性は薄い様だ。医者と坊主の2大主人公が変節してゆく様子が楽しく、小説中に更に小説を書いていく手法は新鮮でした。伝奇小説は入場料を払って入るお化け屋敷のようなもので、怖いもの見たさに奥へ奥へと進んで行く感覚が5冊セットで味わえるのは大変なお値打ち度でした。

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