本年アカデミー賞最有力と言われますが、今年まだ始まったばかりなのに気が早いなあ。と思いながら、「トラと漂流した227日」という副題で、あまりにも驚きの満ちた内容故に,映画化不可能と言われていた小説が、アバターから格段に進化した3Dで多いに感動させられました。インドでの動物園をたたみ、動物共々日本の貨物船でカナダで再起を図る家族が嵐で難破し、一人生き残った16歳の少年パイのアドベンチャー物語なのですが、わずかな食料と水しかない救命ボートに,何とトラ(成獣推定300KG?)が隠れていたのだ。何で?なんて思う余裕もなく、始めはシマウマ、オランウータン、ハイエナも乗っていたので説明すら不可能です。しかし、あまりに荒唐無稽すぎて、この動物たちは人生の比喩のような存在とも思えてきます。そういえば動物占いにこんなのがありました。パイに降り掛かる試練と、人間との共存関係、愛情を分かち合うペットとは全く無縁な、無慈悲でただ凶暴なトラに化身した神に試されているのかとも思える求道者の物語のようです。舞台は小さなボート一隻、しかしそれを取り巻く恐ろしく,また美しい現象と環境が宇宙とつながる感じを覚えた、壮大な映画でした。なぜ少年は生きていられたのか?本当にアカデミー賞かも?