ヒストリーチャンネルで2007年BCCで放映された番組を偶然目にしました。アルベール・カーン(Albert Kahn)というフランス人が20世紀初頭に世界中にカメラマンを派遣して、市井の人々をカラー写真やムービーで撮影し、それが現在パリに「地球映像資料館」として残っているということです。 カーンは世界の民族の多様性を若い世代に紹介することで、国や宗教を超えた相互理解を促し、世界平和につなげたいと考えていたようです。 ユダヤ系フランス人のカーンは一代で1898年、自らの銀行を設立。その後ヨーロッパでユダヤ人排斥運動が高まると引退。1929年の世界恐慌により私財がすべて差し押さえられ、晩年は無一文であったそうです。
30代ですでに大富豪であったカーンは1908年から1930年まで、私財をはたいて,世界50カ国にカメラマンを派遣し、また同行し、当時最先端のカラー映像技術「オートクローム」で撮影された映像をコレクションしました。産業革命後、当時のパリは文化の、ロンドンは経済の中心地であり、中でも「HUGO」でも物語のメインとなる、映画の父と呼ばれるリュシエール兄弟の映像技術革命で、画像を保存出来る様になったことが、今のモバイル文化につながっていると思いました。私たちがよく見る100年前の映像とは、この時代にカーンによって派遣されたカメラマンによって撮影されたものがほとんどです。 中でも初の女性カメラウーマン、メスプレの1913年のアイルランドの風景が、20世紀社会が急激に変わってゆく様子をよく表しています。ネットで是非ご覧下さい。