もう二ヶ月も前の映画です。あまり良い映画だったので感想がまとまりませんでした。
1930年代のパリ、モンパルナス終着駅庁舎に、時計番のおじさんの後に時計台に不法在留として住着き、両親はなく学校も行かず、かっぱらいのその日暮らしの孤独な少年ヒューゴの冒険劇ですが、同時に映画を発明した「メリエス」を賞賛し、活動映画トーキーの時代、そして現代のムービーに至る歴史を教えてくれます。
まず、ヒューゴの不思議な顔。シャーロットランプリングのような、実在するのかと思う青い瞳。そして昼は暗く不潔なヨーロッパなのに、エッフェル塔が建った時代の、夜の電気がともる整然としたパリ市を俯瞰する美しさ、カラクリ人形自体にはそれほどの役割はなかったのですが、産業革命以来の、機械のメカニズムの美しさ、「戦火の馬」にもあった機械の恐ろしさを20世紀の明暗で見せます。
機械オタクのヒューゴが存在価値に悩む恋人に言う「世界が一つの機械なら、一人一人の人間も、欠かすことの出来ない大事な歯車のパーツの一個」=いらない人間なんていない。とかいう台詞に深く教えられたのでありました。
ちなみにナチス親衛隊SSの格調高い黒い制服をデザインしたのは、ドイツの『HUGO BOSS」だそうです。ナショナルジオグラフィックからの知識でした。