マットデイモン主演で、予告編を観たときにボーン風のアクション映画と思いました。原作もきっとすばらしいのだろうが、脚本が良い。勝手に生きている私たちは、実は人生は天の定めた運命によって決められているかも、と思うときもあるわけで、全能の神といえど、全人類の一人一人は、調整役(アジャストメントビューロー)の天使たちに任せられているらしい。人類の未来を決定するような、例えばアメリカ大統領になるような人には、結構な数の天使たちがかかわっているみたいです。ベルリン愛の詩のミカエルみたいに、人間に振り回される天使たちも、雨と帽子に左右されつつ、人生すごろくからたまには脱線してしまうようだ。やっぱり「愛こそは全て」なのだ。
どうして天使は常に男なのかと思いつつ、ラルフローレンのカタログ風、ブルックスブラザーズかポールスチュアート?のディスプレイのような粋な着こなしに、うなりました。
2011年5月アーカイブ
まだ観ていない「ブラックスワン」よりも最新作のこの映画、軽快でノー天気なラブストーリーです。カナリ吹っ飛んだナタリーポートマンは、もっと大きい女性かなと思っていましたが、アシュトンカッチャーと並ぶと小さく見えます。じゃあスカーレットヨハンソンは何センチなのだ?レオンの美少女マチルダとは知りませんでしたが、「ブーリン家の姉妹」、ラックスシャンプーなど生まれながらのお姫様役、ヒロインが似合っていて、軽快な、キャメロンディアスの流れには張り合わないほうが良いのではなどと思ってしまいます。アシュトンカッチャーはヴェガス、バレンタインなど気のいい大らかな、ちょっと抜けたモロにアメリカ青年路線ではまり役でした。どうなるか心配させても最後のハッピーエンドに持って行く、アメリカンラブコメ、毎度ながらうまい物ですねー。
角田光代の原作が映画でリメイクされました。古典芸能にあるところの、「子別れ物」でしょうか。愛人との子供を失った永作博美は、不倫相手家族の幼児を誘拐し4年間育てる。警察によって捕まり、実親に戻された井上真央は成人になり、同じように不倫相手との子供を宿す。永作博美は全てを失い、空っぽだと思っているが、井上真央も同じ道を辿るのか?同じ道というのが蝉の一生=七日なのか?小池栄子とともに、自分の育った軌跡を辿るうちに、ついに小豆島で一日長生き出来た=八日目に実母、育ての母にあまりにも愛され、しかし愛に囚われた悲しみから、自分を開放できた物語かなと思いました。
原作と同じ進行をしていって、ラストになり、ちょっと「悪人」ぽい邂逅があって、しかし映画のほうが救いが感じられ暖かい脚本でした。
解説に池澤夏樹氏の文章が読めたのは幸せでした。