必死剣鳥刺し

336273view001.jpg タイトルで岩にぶつかる大波の中に、東映の三角マーク。久しぶりの「時代劇は東映」にふさわしい本格時代ドラマでした。東北海坂藩は美しい山々に囲まれ、雁が行き、鶴が舞い、武士である役人は質素にまじめに、凶作にあえぐ農民は無力なままの、江戸時代をカメラはとてもきれいに俯瞰しています。
 近習頭取、兼見三佐エ門は場内で御前能舞台鑑賞後、女ながら悪政を吹き込み、殿のブレーンどころか藩政を仕切るゴージャス系の愛妾を場内で刺殺してしまいます。
 映画はそこから遡り、前年に病で妻を亡くした、兼見三佐エ門は生きることに積極的でなく、いつ死んでもいいやと思いながらも、いつしか愛を取り戻していく中、中老岸部一徳の策略にはまっていく。
 ラスト15分位、以外と農民のことを思っていた別家吉川晃司との対決を収めたとたん、中老と殿に裏切られ、深手を負い、絶体絶命のなか、驚愕の必死剣鳥刺し。やり切れません。
 腰の入った殺陣、本絹の豪華な着物の衣擦れ、突っ込みようのないお茶らけなしの、まじめな豊川悦司。中村吉衛門、松方弘樹を継ぐ、正統時代劇スターの仲間入りです。

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