高所を軽やかに移動すり様を鳶(とんび)に見立てたという説もあれば、「鳶口(とびくち)」という道具に由来する、とも言われています。鳶口というのは、長さ1.5~2mほどの棒の先に、鉄製の穂先を付けた道具のこと。
鳶職人はふだんから足場を組み上げる材木を、鳶口を使って引っ張りあげたり、鳶口で縛り縄を切って足場を解体していました。いわば鳶口は、鳶職人にとって、片腕とも呼べるなじみぶかい仕事道具であったのです。
したがって火事のような有事の際には、おのずと相棒である鳶口を使い、消火活動を行い人命を守ったのでしょう。
このように鳶口は鳶職人のトレードマークのようなもの。いつの間にか、名は体を表すかのように、「鳶職人」と呼ばれるようになったのです。
最初に現場入りし、最後に現場を去ることから、「建設は鳶に始まり鳶に終わる」とも言われる大切な仕事。建築を、街並みを、そして風景をつくり上げる誇りと心意気は、今も変わらず受け継がれています。
英語ではsteeplejackとか、最近ではスパイダーマンと呼ぶそうです。
手拭いは特岡という生地を紺で染めました。100cm